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記事詳細 146号 2010年08月24日 01面「特集:デジタルサイネージ 」

成長見込まれる"電子看板"市場

コンビニと鉄道が牽引 デジタルサイネージ
今年度は14%増の636億円


今年に入り「デジタルサイネージ」(2面下部に言葉の解説)というキーワードが今まで以上に頻繁に聞かれるようになった。成長の可能性を秘めた市場として見られているが、一方で現状はそれほど拡大していないとの見方もある。デジタルサイネージという名を与えられた〝電子看板〟の市場はどう変化していくのだろうか。

昨年度は横ばい 557億円規模
「デジタルサイネージ」という言葉だけが独り歩きしているのか――。

そう思わせるような調査結果が今年6月に発表された。矢野経済研究所の「デジタルサイネージ市場に関する調査結果2010」で、昨年(2009)度の市場規模は557億円で、前年度と比べてわずか0.8%の増にとどまったと試算されたのだ。

同研究所は「流通業や行政を始めとする各業界から参入ベンダへの問い合わせ件数は増加していたが、市場規模の拡大には繋がらなかった」と分析した上で、小規模での実証実験を行うケースが多かったことや、景気の影響でスペックダウンを行う企業が多かったことなどを要因として挙げている。

今年度は踊り場脱し再ブレイクの予想も
一方、同調査では今年度は踊り場から脱出し、再ブレイクの予感を感じさせると見ている。試算では今年度は前年比14.2%増の636億円と予測。5年後の2015年には1300億円になるとはじいた。

その理由として挙げるのが、大手コンビニエンスストアがデジタルサイネージ導入に踏み出したことや、鉄道系デジタルサイネージの増設が相次いでいることである。

東急電鉄車内の「OQ ビジョン」(上)、ローソンで展開中の「東京メディア」のイメージ(下)大手コンビニが相次ぎ導入模索
デジタルサイネージ市場の成長を後押しすると見られるコンビニエンスストアと鉄道の両業界。現在のデジタルサイネージへの取り組み状況はどのようなものか。

コンビニ各社は、店舗への来客や販売促進などを目的に、昨年後半あたりからデジタルサイネージの導入に向けた動きを本格化させている。

3大チェーンでは、最大手のセブンイレブンが昨年11月に都内10店舗で実証実験を開始。同2位のローソンは、広告大手のアサツーディ・ケイ(ADK)やNTTドコモと手を組み、今年5月末から独自コンテンツを店舗外に向かって発信する「東京メディア」を都内23区の300店舗で展開中だ。

3位のファミリーマートも産経新聞社と提携し、両面ディスプレイを使った運用実験を6月15日から、都内近郊20店で始めている。

また、今年3月にファミリーマート傘下となった業界7位のコンビニチェーン「am/pm」は、首都圏店舗内のコピー機付近に「プリミックスビジョン」と名付けたデジタルサイネージを08年から順次設置しており、店の売上増にも一定の成果を上げている。

業界4位のサークルKサンクスは、5インチの小型液晶ディスプレイによる「電子POP」を07年6月に導入し、CMやキャンペーン情報などを店舗で流している。これも広い意味でのデジタルサイネージと言えるだろう。

コンビニ業界でのデジタルサイネージ導入は、今年はまだ実験段階という域は出ていないものの、来年以降は本格的な展開が予想される。

首都圏11鉄道で行われている共同実証実験の52インチモニタ(上)、品川駅の自由通路に65インチのモニタを44面設置した「J・AD ビジョン」(下)デジタルサイネージ 鉄道会社が積極的に
山手線を皮切りに鉄道各社に浸透中

コンビニ業界以上にデジタルサイネージ導入を積極的に進めているのが鉄道会社である。

JR東日本の「トレインチャンネル」は、車両ドア上部に設置されているもので、02年の山手線を皮切りに、京浜東北・根岸線、中央線快速、京葉線など増設を繰り返しており、現在では首都圏を中心に2万画面規模に達する。また、同社内の東京や品川など首都圏11駅の構内では「J・ADビジョン」という大型のデジタルサイネージメディアを展開しており、ディスプレイ数は154画面にのぼる。

JR東日本と同じく02年にスタートしたのが東急電鉄の「TOQビジョン(トーキュービジョン)」。同社沿線の東横、田園都市、大井町、目黒の4線の車内で約1万5000画面規模で展開しており、JR東日本に次ぐ規模だ。

このほか、大手では東京メトロが副都心線と有楽町線の新型車両で「Tokyo Metro ビジョン」を2880画面で展開。西武鉄道は約400画面規模の「西武スマイルビジョン」を行っている。第三セクターの埼玉高速鉄道は06年から自社車両に「Sai-Net Vision(サイネットビジョン)」を設け、現在は240画面を設置している。

首都圏以外では、JR西日本が06年から大阪圏で「WESTビジョン」を開始しており、現在では1640画面規模となっている。

新型車の導入で ますます広がる 鉄道会社が展開するデジタルサイネージは、ほぼすべてが新型車両への置き換えを機に開始しており、今後新型車が投入される度に設置面数は増えていくと見られている。

また、駅構内などの人が多く集まる場所を抱えていることから、さらにデジタルサイネージの導入拡大も見込まれる。

首都圏11鉄道の共同実証実験に使われている薄型の52インチモニタには顔認識システムも搭載されているJR東日本や東京メトロ、都営地下鉄、小田急、京王など首都圏の11鉄道は、今年6月21日から20駅27面でデジタルサイネージ共同実証実験を開始した。各駅に共通デザインの52インチ大型モニタを設置。効果的な広告表現やコンテンツを検証し、顔認識システムの効果測定を1年間に渡って行うもので、次世代型のデジタルサイネージ広告メディアを、駅構内で展開することをにらんだ動きといえる。

矢野総研が今年5月に各種デジタルサイネージ媒体の認知度調査をしたところ、上位6媒体のうち4媒体を鉄道系が占めており、今後も広告ビジネスを牽引することが期待される。

 


 

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