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記事詳細 139号 2010年05月11日 10面「特集:インタビュー」

IT×「超」仕事人 衆議院議員 柿沢 未途さん

 

衆議院議員 柿沢 未途さん国会の質問王はIT フル活用
分かりづらい国政の実情 ツイッターでオープンに
思わぬ「つながり」活用も

  

Text:秋元宏 Photo:編集部


非公開会議で発信 物議かもし謝罪も
「日程管理、事務所内の連絡などITは必須のツールです。自分の主義主張を発信することについてウェブ、ツイッター、ブログなどどれも必要欠くべからざるインフラだと思います」。

柿沢さんはITをフル活用し、ツイッターで情報発信しながら積極果敢に政治と向き合っている。同じ情報交換サイトでも匿名の「2ちゃんねる」などとツイッターが大きく異なるのは投稿が実名であることだ。

現在、柿沢さんのツイッターをチェックしているフォロワーは約一万。「こんなに多くなったのは、国会の様子を書いているからでしょう。たとえば、予算委員会の理事会が遅れているのはこんな理由だとか。国会議員が国会の中で何をしているのかは一般には見えにくい。それをいくらか解消するためにツイッターで情報発信しているのでどんどんフォロワーがついたと思うんです。『自分が国会の中にいるようだ』という声も寄せられてます」。

短い空き時間にも携帯からツイートを投稿する今年一月下旬には国会の予算委員会を開く前段階で行われる理事会の模様をツイッターで「実況中継」したことで「お叱り」を受けた。

「なぜ、一言一句をリポートしたかというと、午後一時から開会される予算委員会の理事会がその時間になっても開かれなかったんです。いくらなんでもこれはないんじゃないかと」。理事会は時間をずらして始まったが、結局、与野党の折り合いはつかなかった。理事会は非公開である。有権者や政治に関心を抱いている人からすれば理事会で与野党の理事が何を言ったのかを知りたいところ。傍聴者の立場で理事会の推移を見守っていた柿沢さんは私見をまったく入れないで、与野党の言い分をかぎカッコ付きでツイッターに書いた。それがけしからんというのである。
柿沢さんは「配慮が足りなかった面があったかもしれない」と謝罪した。フォロワーからすれば政治の鼓動がリアルに伝わってくるので、こういう記述こそ参考にもなるし面白い。

一年生議員ながら、国会での質問回数がナンバーワンである。四月で既に五〇回を越えた。ツイッターでのやり取りが国会質問のヒントにすることもあるという。

「思わぬ有名人や学者などと繋がっていく。ある議員がツイッターをクオリティーメディアという言い方をしていましたが、実名でモノをいっている人はそれなりの識見を持ち、自分自身の言説に対して自信を持って発信してくるので、その人の意見は大変参考になります。発想が面白いと思ってダイレクトメッセージを送ってやり取りをしているうちに国会質問のヒントをもらうことがあります」。

ツイッターは携帯メールを打つ感覚で自分の行動記録を残せる。「椅子に座ってまとまった文章をPCの前で書く時間がないので、ツイッターに書いたものをまとめてブログに載せると自分の行動ログになる。ありがたいツールができたという感じですね」。

柿沢さんのツイッター街頭演説していると フォロワーに出会う
可能な限り毎朝選挙区内の駅前に立って街頭演説をする。必ず二~三人の通勤者が「ツイッター見てますよ」「ツイッターをフォローしています」と声を掛けられるという。

「人間的な信頼をうるには直接、有権者と会ってじっくり話をして人間性を理解してもらうのが理想的でなんですが、一〇万人単位の人を相手にするには物理的に不可能。勤めに出ている人が多いので平日の昼間にいくら宣伝カーで回っても、個別訪問しても不在のところが多い。そういう人たちに自分の考え方や政策、情報などを受け取ってもらうのにはツイッターはとても有意義です」。

不特定多数を対象にしたテレビや新聞などのマスメディアと違ってツイッターは特定の人に限定される。逆に言えば、それだけに慎重にならざるを得ない。「何気ない言葉、発言などが揚げ足を取られて大変なことになる場合もあるので、慎重すぎるぐらい気を遣っています」。といって、優等生な当たり障りのないことを書いても評価されることはない。「このへんが難しいところですね」。

国会議員は世代的に幅が広いのでITにうといタイプもいる。有権者はウェブなど見ていないとタカをくくっている政治家もいれば、このIT社会の流れの中で何もやっていないと見られることを嫌い、後ろ指を刺されない程度の情報を発信している政治家もいる。柿沢さんの場合は戦力だ。

「ツイッターといえども毎日、情報発信していると記者会見を開いているようなもの。小さな政党はネットのツールを有効に活用して自分たちの主義主張や政策を絶えず発信ながら、知りたいと思う人たちに十分な情報を与えられるような体制をつくならいといけないと思うんです」。

失意の中から復帰 禅寺での修行経験
これまで必ずしも平坦な道ばかりではなかった。父親で元外相の柿沢弘治衆院議員秘書を経て、都議選に出馬し初当選。二期目には民主党公認で当選し、都議会民主党のナンバー2となる政調会長にまで就任したが、酒気帯び運転で事故を起こした。その責任をとって都議を辞職し民主党を離党。失意の中、禅寺で修行した。

昨年夏に「みんなの党」に入党し、第四五回衆院選には党公認で東京一五区(江東)から出馬したが、民主党公認候補に敗北。比例区で復活当選した。

「世の中、ネバーギブアップの人が一番、強い。成功する秘訣は成功するまで諦めないで続けること。諦めて降りてしまえばそこで終わりです。志をもってリスクをとって挑戦することは誰にでもできることではないけれど、自分がこう思ったら継続していってほしい」。

政治は頭脳明晰だからできるというものではもちろんない。「人間的な経験の幅や人生における苦労と努力の積み重ねが人格に刻まれて政治に生かされてくると思うんです」。そういう意味ではまだ、スタートラインに立ったばかり。「もしも、政治の世界に入らなかったら、おそらく、禅寺にいたでしょうね。禅宗の僧侶の資格をとろうと考えていましたから」。

僧侶の道を中断したのは病に倒れた父親を看病するためだった。好きな言葉は本来無一物。「禅の言葉ですけど、本来空であるから一物として執着すべきものはなく、一切のものから自由自在になった心境。なにもないと思えば怖いものなどないという意味です。この言葉、いいなと思っているんですよ」。

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